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今年はどんな1年だった? ちゃぶじょと2019年を振り返る

2020年も目の前となりましたが、皆さまにとって2019年はどんな1年でしたでしょうか。ちゃぶ台返し女子アクション(ちゃぶじょ)は、大学生や一般向けの性的同意・第三者介入ワークショップの実施、イベント登壇、性的同意ハンドブックの配布、学生団体のサポート、イベント開催(「国際女性デー」をお祝いする会団体設立4周年記念イベント)など、2019年も様々な活動をしてきました。2020年も引き続き、パワフルに活動して参りますので、活動に興味がある方サポートしたい方は、ぜひご連絡ください。


2019年最後のこの記事では、今年のフェミニズムやジェンダー関連ニュースのまとめと、ちゃぶじょと一緒に活動してきた学生団体、及びちゃぶじょ代表理事の大澤祥子からのメッセージで締め括りたいと思います。常にちゃぶじょの中心にある、「人々が声を上げる」「人々が立ち上がる」「人々が一緒にアクションを起こす」というようなニュースを中心にピックアップしてみました。


皆さまにとって、素敵な2020年になりますように!


LGBT+


「結婚の自由を全ての人に」同性婚訴訟開始 2019年2月14日、「国会がいつまでも”同性カップルが結婚ができるための法律”をつくらないのは、憲法上の人権を侵害し、違法だから国は賠償すべき」として、同性カップル13組が国に損害賠償を求めて一斉提訴をしました。


福岡でも同性婚訴訟 2019年9月、福岡でも男性同士のカップルが、同性婚を国が認めないのは違憲として、国に損害賠償を求めて提訴しました。


大学2校がトランス女性の受け入れを発表 2018年7月に、お茶の水女子大学がトランスジェンダーの女性の受け入れを発表しました。それに次ぐ形で、2019年6月には奈良女子大学、同年9月には宮城学院女子大学もトランス女性を受け入れる方針を発表した。津田塾大学や日本女子大学、東京女子大学も受け入れを検討していると報道されています。


「#ともにあるためのフェミニズム」「#トランス女性は女性です」ハッシュタグ

トランスフォビア(トランスジェンダーの人たちに対する嫌悪や偏見)や、トランスジェンダーの人たちに対する差別や暴力は長い歴史がありますが、お茶の水女子大学がトランス女性の受け入れを発表したことをきっかけに、特にツイッター上でトランス女性に対する差別やトランス女性を排除する言動が見受けられるようになりました。それに対して、トランスジェンダーの人たちを排除するフェミニズムに抵抗するハッシュタグ、「#ともにあるためのフェミニズム」や「#トランス女性は女性です」などが使われるようになりました。


「性同一性障害者特例法」の改正を求める声

日本では、戸籍上の性別変更に性別適合手術を要求する「性同一性障害者特例法」が存在します。これは個人の尊重を定めた憲法に反するとして、臼井崇来人さんが審判を申し立てしたものの、2019年1月、最高裁は「規定は合憲」と判断しました。臼井さんは記者会見で、「多くの人が応援してくれ、声を上げれば社会は動くと実感できた。制度のはざまで苦しむ自分たちがいることを今後も訴え続けたい」と述べています。


一橋アウティング事件を受けて、「一橋プライドフォーラム」がスタート

2015年8月、一橋大学の学生がゲイであることをアウティング(他人に暴露)され、転落死した事件がありました。このような事件の繰り返しを防ぐために、2019年8月、一橋大学の卒業生の有志ネットワークが「プライドブリッジ」を設立しました。


性犯罪、性暴力、ハラスメント


慶應大学の学生たちが、性暴力への対策を求めて署名活動を開始

近年、慶應大学の学生による性暴力事件が取り上げらるようになりました。例えば、2019年1月、「準強制性交」などの容疑で逮捕されていた慶應大学の学生が不起訴処分となりました。このような裁判に至る事件や、至らない事件も含め、大学側の性暴力への対策不足を指摘し、慶應大学の学生たちが有志団体「Safe Campus Keio」を立ち上げました。今も署名活動を行っているので、慶應大学関係者(学生、卒業生、教職員)の方はぜひご賛同ください。

2019年6月21日には、慶應大学で「キャンパスにおける性犯罪を防止するには」という学生主導のシンポジウムが開催され、ちゃぶじょ共同代表理事の大澤も登壇させてもらいました。


15歳の時に中学校の教師に性暴力を受けた石田郁子さんが東京裁判に提訴

子どもの頃に性暴力を受けても、それを「性暴力」だとすぐ認識できることはとても難しいことが分かっています。しかし、現在の刑法では、強制わいせつ罪の時効は7年、強制性交等罪の時効は10年となっています。石田郁子さんは、15歳の時に教師に性暴力を受け、教師と札幌市教育委員会に損害賠償を求めて、2019年2月に東京地裁に提訴しました。しかし、「除斥期間を過ぎている」と判断され、敗訴。9月に控訴しています。


フラワーデモ全国に広がりました 2019年3月に、性犯罪に関する無罪判決が次々と報道されました。これらの無罪判決は、裁判にたどり着いたケースでも、サバイバーや被害者が現法でいかに守られていないかを明確し、怒りと疑問の声が強まりました。 ※無罪判決のニュースについてはこちらの記事が解説しています。 2019年4月11日、東京でフラワーデモが始まりました。「未来を変えていくための、社会を変えていくための、性暴力を許さない声をあげるためのフラワーデモです。」(フラワーデモWebサイトより)12月11日時点では、全国27都道府県・29都市&バルセロナでフラワーデモが開催されています。


フォトジャーナリストの広河隆一氏による性暴力やパワハラが明るみに 2018年12月下旬に、フォトジャーナリスト広河氏による性暴力やパワーハラスメントが報道されました。 2019年3月には、「DAYS元スタッフの会」が発足し、被害についての情報提供や、賛同者を募集。DAYS JAPANは12月27日、広河氏の加害行為は「悪質な代償型セクシュアルハラスメントであると判断する」として、公式Webサイトに検証委員会の報告書を公開しました。


Spring、ヒューマンライツ・ナウ、Voice Up Japanが性犯罪に関する刑法改正を求めて法務省に署名を提出 2019年6月、Spring、ヒューマンライツ・ナウ、Voice Up Japanが4万5875人分の署名を法務省に提出しました。2020年の国会で、刑法の見直しを実現するように求めています。


「刑法改正市民プロジェクト」が性犯罪に関する刑法改正要望書提出 11月21日、性暴力をなくすために活動している12団体から成る「刑法改正市民プロジェクト」が、刑法性犯罪の見直しを求める院内集会を開催し、改正案(私たちが求める刑法性犯罪規定改正案(叩き台))を提示しました。


「就活セクハラ」に光が当たるようになりました

2月にはBusiness Insiderが「就活セクハラ緊急アンケート」の結果を発表し、約50%の学生が就活中に被害に遭っていることが分かりました。同2月には、ゼネコン大林組の社員が強制わいせつ罪の容疑で逮捕されたことも報道されました。

このような現状に対して、「#就活ハラスメントをなくしてください!」という署名活動が始まり、11月12日、匿名の悩み相談ウェブサイトQCCCAやキャンペーンに賛同する大学生が1万1333人分の署名を厚生労働省に提出しました。

11月18日には、大学生有志のネットワーク「Safe Campus Youth Network」が『実効性ある「就活セクハラ」対策を求める大学生からの緊急声明』を発表しました。


エンパワメントするひとたち


ヒール・パンプスの強制をなくす「#KuToo」に多くの女性が共感 グラビア女優・ライターの石川優実さんが1月24日「私はいつか女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたいと思ってるの」とツイートしたことをきっかけに始まった#KuToo運動。この投稿が大きな反響を呼び、オンライン署名サイト「Change.org」で署名活動を開始しました。ネット上での盛り上がりを受けて、ジョンソン・エンド・ジョンソンが「#スニ活」を実施したり、NTTドコモが販売スタッフの靴をスニーカーに切り替える方針を発表したりするなど、複数の企業が賛同。6月3日には、1万8856筆の署名を厚生労働省に提出しました。さらに、英BBC放送の今年の「100人の女性」の一人に石川優実さんが選出されるなど、海外からの注目も集めています。


「週刊SPA!」ヤレる女子大生ランキングに学生らが抗議 扶桑社が発行する「週刊SPA!」12月25日号に掲載された「ヤレる女子大学生RANKING」が炎上。年明け早々に抗議署名が始まりました。呼びかけを始めたのは、Voice Up Japan代表の山本和奈さんら現役大学生たち。1月7日には編集部が謝罪文を公開。その後、学生グループは、SPA!編集部を訪問し、企画の経緯や今後の紙面について対話を行いました


上野千鶴子さんの東大入学式の祝辞が大きな反響呼ぶ 4月12日、社会学者で、東京大学名誉教授の上野千鶴子さんが東京大学学部入学式で述べた祝辞がメディアで取り上げられ、話題に。東京医科大学の入試における性差別問や#MeToo運動などに触れ、ジェンダーギャップについて語った祝辞は「共感した」「祝辞にふさわしくない」と賛否が巻き起こりました

日本初のSLUT WALKが大阪で開催

11月3日の文化の日に大阪難波 元町中公園でSLUT WALKが開催されました。SLUTとは、英語で「あばずれ」「尻軽」という意味。レイプと性差別に抗議しながら街を歩く「SLUT WALK」は、ボストンやシカゴ、ロンドン、パリ、メルボルンなど世界各国で行われています。

どんな服装をしていても、どんな態度でも、どんな職業でも、性差別や性暴力が許されるわけがない。「あばずれ上等‼︎」をキーワードに行われたSLUT WALK@大阪は、約150名が集まりました。


英BBCが選ぶ「100人の女性」に、映画「相撲人」出演・今日和さん 英BBC放送が、世界の人々に感動や影響を与えた「今年の100人の女性」の中に、日本の石川優実さんと、立命館大相撲部で活動する今日和さんを選出しました。今さんは、女子相撲で世界一を志す姿を追った短編ドキュメンタリー映画「相撲人(Little Miss Sumo)」に出演し、注目を集めました。「相撲人(Little Miss Sumo)」は現在、Netflixで配信されています。


女性だけで切り盛りする寿司店「なでしこ寿司」が話題に 10月25日、ハフポストが『「生理が味覚に影響」「化粧がつく」……。差別や偏見を乗り越え、ある女性が寿司職人を続ける理由』を掲載し、なでしこ寿司が話題になりました。寿司を握る職人も含めて全員が女性。「男社会」の寿司職人の世界で、なでしこ寿司のような店に対する風当たりは強い。そんななかでも、偏見や差別と闘い続ける女性たちの姿を伝えています。


女子高生サミットin熊本で、女性の働き方・ジェンダーをテーマにスピーチ 性別で選択肢が狭められることのない社会をめざす「女子高生サミット」が熊本市で開催されました。一般の参加者は約350名。発表の内容は、「結婚や出産に伴う家事分担」や「広告から見る女性差別」など。実行委員の学生は、「『女性問題』は女性だけの問題ではない。今日帰ったら、早速家事を分け合うことから始めて」と訴えました。

ジャーナリストの伊藤詩織さんが勝訴 日本の性暴力裁判に世界中が注目

伊藤詩織さんが、山口敬之さんに損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は12月18日、勝訴判決を言い渡しました。

判決では、同意のない性行為によって肉体的・精神的苦痛を受けたという伊藤さんの訴えが全面的に認められました。被告・山口さんは判決後の会見で控訴する意向を示しています。

伊藤さんの裁判勝訴のニュースは多くの海外メディアでも取り上げられ、今後の日本の性暴力事件への対応に注目が集まっています。


リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)


アフターピルのオンライン診療検討会に批判「性の知識がないのは“若い女性”だけ?」

緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン診療の処方を解禁する指針が策定されましたが「制限が多い」として物議を醸しています。対象者は、地理的に産婦人科を受診しづらい女性や、性暴力被害のワンストップ支援センターなど相談機関へ連絡してきた女性で、心理的な問題から対面診療が難しいと判断された場合に限るなどの条件が設けられています。

この場合、避妊に失敗してしまった人はどうすればいいのか、誰がどのように性暴力被害者だと認定するのか、デートレイプ被害者は該当しないのか、性被害体験を話さなくてはならないことで二次被害の可能性があるのではないか、などさまざまな問題が予想されます

現在、NPO法人ピルコン理事長の染矢明日香さん、#なんでないの。代表の福田和子さんが呼びかけ人となって、オンライン署名「アフターピル(緊急避妊薬)を必要とするすべての女性に届けたい!」を実施しています。


ちゃぶじょと一緒に活動してきた大学生たちからのメッセージ


Belive Soka ビリーブ創価(創価大学)

今年度は、3学部でのワークショップ開催、学生生活ポリシーへの「性的同意」の項の追加、団体名の刷新やロゴの作成など、様々な変化を生むことが出来ました。嬉しいことに、新入生全体オリエンテーションにて、学生部長自ら性的同意に言及して下さいました。理解者・支援者(ビリーバー)が増えていることを感じています。今年度初めての取り組みとして、教授とコラボして英語でのシンポジウム、米・学会での発表、インカレの仲間と合同イベントでの発表などを行いました。性的同意啓発活動の、多方面への周知にも尽力しました。引き続き来年も、地道な交渉を通じた制度の変革と、イベント開催・SNSを通じた発信で、文化の変革を目指していきます!


Bridge for All(一橋大学)

連絡先:hit.bridge4all@gmail.com | Twitter

今年度、一橋大学では2回、ちゃぶ台返し女子アクションの方を講師にお呼びして性的同意に関するワークショップを行いました。その後、継続的に活動を行うために学生団体として「Bridge for All」を立ち上げました。

Bridge for Allとして初のワークショップ「性暴力ってなんだろう-レイプだけが性暴力?」では、盛んに意見が飛び交い、活動のエネルギーをいただきました。

来年度は、気軽に参加できるお茶会など多様なイベントを開いたり、学内・学外の他団体と連携したり、より多くの人と活動していきたいです。

また、草の根運動の継続とともに、上からの変化を求めて大学組織にも働きかけていきます。


Tottoko Gender Movement(東大)

2019年、Tottoko Gender Movementは、新メンバーが5人増え、協力してくださる数名の教授に出会い、活動範囲も学内から学外まで広がり、団体として大きな成長をしました。特に、性暴力の問題に取り組む様々な大学の団体と合同でシンポジウムを開催したことや駒場祭に東京大学のセクシュアルマイノリティ支援サークルと参加したことで、他の団体の仲間たちと繋がる大切さや協力することで生まれる新しい価値について学びました。

2020年は、新規メンバー含めた各メンバーがリーダシップを取れるような組織づくりを目指し、性差別・性暴力をなくすため、アクションを取り続けたいと思います!


ちゃぶじょ共同代表理事・大澤祥子からのメッセージ

今年を振り返ると、実態に対する絶望と、変化に対する希望が隣り合わせだった1年間だと感じています。 2018年は伊藤詩織さんの告発をはじめとする#MeTooの広がりにより、これまで黙認されていた現状が問題として可視化され認識された年とするのであれば、2019年はその怒りを具体的な変化に繋げる第一歩となった年ではないでしょうか。 伊藤詩織さんや石川優実さん、フラワーデモの参加者の皆さん、SPA!や自分たちの大学に変化を求めた大学生たちの行動は、ジェンダー不平等に対して多様な声の上げ方、立ち上がり方、戦い方があることを教えてくれました。これらの多くの行動により、私たちが望む社会の姿が少しずつ見えるようになり、現状のひどさに対する絶望が徐々に希望へと変わっていきました。 同時に、取り組むべき様々なジェンダー問題はもちろん、変化を起こすにあたって考えるべき課題も明らかになりました。どのようにして分断ではなく連帯を作っていくのか。多様なセクシュアリティ、国籍、人種、社会的・経済的立場の人々にインクルーシブな動きにしていくのか。リアクティブ(反応的)ではなく、戦略的かつプロアクティブ(積極的)に動けるパワーをつけていくのか。また声を上げる人に期待と非難が集中する現状において、運動内のセルフケアも大切な課題だと思います。 これらを問いかけ続けながら、2019年の1年間を通して生み出されたエネルギーを、みなさまと一緒に、2020年ではさらなる変化に結びつけていけたら嬉しいです。


Written by デジタルチーム





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