2020年も残すところ、あとわずかとなりました。今年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、試練の連続の1年となったのではないかと思います。そのような中、こうして皆さんと共に、大晦日を迎えられたことをちゃぶじょは嬉しく思っています。
ちゃぶじょにとっては、今年は、過去を見つめ、そして未来を見据える年でもありました。ちゃぶじょは今年、発足5周年を迎え、濱田すみれさんをお招きして記念イベントを開催しました。ほか、今年は、チェンジ・リーダー・プログラムを企画し、チェンジ・リーダーの大学生たちをコーチしてきました。引き続き、来年も、精力的に活動してまいりますので、応援いただければ嬉しいです。また、活動への参加やサポートに興味がある方は、是非こちらから、いつでもお気軽にご連絡ください。
さて、ちゃぶじょは、去年の終わりに「今年はどんな1年だった? ちゃぶじょと2019年を振り返る」という振り返り記事を執筆したのですが、今回も、2020年のフェミニズム、ジェンダー、社会運動関連ニュースをまとめ、1年を締めくくりたいと思います。先ほども述べたように、今年は、社会がコロナウイルス感染症の打撃を受け、加えて、フェミニズムに対するバックラッシュも強まる傾向にあり、ジェンダー平等や解放を目指す人々にとっては困難の多い年であったといえるかもしれません。しかし、私たちは常に困難に立ち向かい、確実に前進してきたのではないでしょうか。本記事では、主に、同志の活動が実を結び、達成することができた社会の変化など、私たちをエンパワーしてくれるイシューを振り返ります。また、新型コロナウイルス感染症で浮き彫りになった社会問題もまとめました。来年も、皆さんが健康で素敵な1年を過ごせるよう、ちゃぶじょ一同願っています。
LGBTQ+
69の自治体がパートナーシップ制度を導入 パートナーシップ制度とは、地方自治体において、同性カップルの関係性を公的に認めるものです。当該制度を利用することにより、これまで同性カップルにとって困難であった医療や部屋探しにおけるパートナーシップの証明が容易になり、異性カップルと同様の保障を得ることができるようになりました。
2015年に世田谷区と渋谷区が当該制度を導入したのを皮切りとして、年々、制度を取り入れる自治体は増えています。2020年までに、トータル69もの自治体が、当該制度を導入するに至りました。
もっとも、当該制度は、あくまで地方自治体における保障に留まるものであり、民法上の婚姻や税法上の税控除など、国レベルの保障を得られるものではありません。同性同士でも法律婚が可能となるよう、国には迅速な法改正が求められます。
2020年に同性婚を承認した国家 5月26日より、国内裁判所判決と米州人権裁判所の勧告的意見に基づき、コスタリカで同性婚が実現しました。また、12月にはスイスが同性婚を認めました。
タイでは、7月8日に、政府が「市民パートナーシップ法案」を承認したと発表しました。この市民パートナーシップ制度、従来の婚姻制度とは異なるものの、同性カップルが養子を迎える権利や配偶者の財産を相続する権利などを認めるものであり、事実上、婚姻と同様のものであるということです。この法案が成立すると、タイは、台湾に続き、アジアで2番目に同性婚を認める国家となります。日本も、是非、タイに続いてほしいです。
政治分野における多様性 2016年、台湾において、国内史上最年少の大臣が誕生したことを皆さん覚えているでしょうか。デジタル担当大臣となったオードリー・タンは、自身がトランスジェンダーであることを公表しています。
今年は、まず10月に、ベルギーで、トランスジェンダー女性のペトラ・デ・ステル氏が副首相に就任しました。EUでは、数々のトランスジェンダー当事者が政治家として活躍しているようですが、副首相となるのは、ベルギー、ひいてはEU内でも初だそうです。
また、11月には、ニュージーランドで、オープンリー・ゲイであるグラント・ロバートソンを副首相とする内閣が発足しました。同性愛者であることを公言した者が副首相に就任するのは、ニュージーランドにおいて初めてであるということです。また、ニュージーランドの新内閣には、女性やマオリの議員も多数登用されているということです。
同性婚訴訟・札幌で結審
2019年2月14日に札幌、東京、名古屋、大坂の4都市で同性婚訴訟が始まってから、もうすぐ2年になります。昨年の9月には、福岡でも裁判がスタートしました。このうち、ついに札幌地裁が10月28日に結審し、あとは判決を残すところとなりました。判決期日は、2021年3月21日です。原告の方々、そして全ての当事者の方々の想いが成就することとなるよう、ちゃぶじょも応援しています。
これら一連の同性婚訴訟については、是非、こちらのMarriage For Allのウェブサイトを参照してみてください。同性婚に関する情報や訴訟の最新情報がチェックできます。
入管に収容されていたトランス女性のパトさんの解放
東京出入国在留管理局(入管)の対応や暴力が以前よりも頻繁にメディアに取り上げられるようになったように感じますが、今年はトランスジェンダー女性のパトさんが「トランスジェンダーである」ことを理由に隔離され、ホルモン剤の使用も拒否されていたことが報道されました。支援者の方々の活動や署名活動の成果もあり、パトさんには10月に仮方面許可が出ました。入管や収容問題など問題に興味がある方は、これらの団体をぜひフォローしてみてください。
トランスインクルーシブなフェミニズムに関するウェブサイト開設
今年、トランスフォビアに抵抗し、よりインクルーシブなフェミニズムを目指すためのリソースをまとめたサイトが開設されました。トランス排除に関する英語と日本語の分析記事などのリンク集が掲載されているほか、文献の紹介や解説なども投稿されています。
性犯罪、性暴力、ハラスメント
相次ぐ逆転有罪 2019年のはじめ、性犯罪に関する裁判において、無罪判決が相次ぎました。これを受けて始まったのがフラワーデモです。昨年の4月に開始して以来、新型コロナウイルス感染症の影響にも負けず、2年弱、人々の想いが紡がれてきました。
そのような中、2月に久留米の裁判が、そして、3月には岡崎の裁判が、高裁にて有罪判決に逆転。それぞれ、4年と10年の懲役刑が下されました。私たちの想いが、司法に届いた瞬間でした。
刑法改正へ検討会設置 3月31日、法務省内に、強制性交等罪(刑法177条)などの構成要件を見直す検討会が設置されました。メンバーは、精神科医などの専門家から成る17人で、この中には、性暴力サバイバーの当事者である山本潤さん(一般社団法人Spring代表理事)も加わりました。
従来の構成要件であり、問題視されている「相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度の暴行又は脅迫」を撤廃し、「同意の有無」に焦点を当てた要件となるよう、見直しの議論が進むことになります。
日本学術会議 刑法改正へ提言 9月21日、日本学術会議の法学委員会ジェンダー法分科会など3分野の分科会が、『「同意の有無」を中核に置く刑法改正に向けて ―性暴力に対する国際人権基準の反映―』と題した提言をまとめました。内容としては、「暴行又は脅迫」要件を撤廃し、国際人権基準に基づいた「同意のない性行為」を犯罪と規定するよう求めるものです。3つの分科会は、法学と社会学の教授などの権威あるメンバーによって構成されており、本提言は、刑法改正への良い影響となりそうです。
デンマークで法改正 同意のない性行為はレイプと定義
9月1日、デンマーク政府は、性犯罪関連法を改正し、暴力ではなく同意の有無を本質としてレイプの判断をするよう法改正の方針を発表しました。
性犯罪の被害者保護 匿名の起訴状を可能にするよう検討 起訴状とは、検察官が刑事裁判を起こすため、起訴する際、裁判所に提出する書面です。これには、被告人の氏名、罪名などのほか、犯罪の被害者の名前も記載され、その謄本は被告人にも送付されます。そのため、自分を加害した人間に被害者の氏名が知られてしまうということが避けられず、被害の当事者にとって、精神的、そして報復などの物理的リスクとなることが指摘されます。被害者がどうしても氏名を知られたくないと粘った際、検事に「今のうちに示談してください」と不起訴前提で検討を頼まれたケースもあったようです。
このような経緯を経て、今年、法務省は、性犯罪の被害者の保護のために、起訴状の被害者の氏名を匿名にすることを可能にする方向で法改正の検討を始めました。一刻も早く、法改正が行われることが望まれます。
センター試験中の痴漢に対し、電車パトロール 今年は、センター試験中の痴漢問題が浮き彫りとなりました。非常に遺憾ながら、センター試験の実施中は、試験の遅刻に対する懸念から被害者が通報しづらいと踏み、痴漢に走る犯罪者の増加が見込まれます。
このような現状に対し、性犯罪を許さない同志が立ち上がりました。今年のセンター初日には、Twitter上で#withyellowのハッシュタグのもと連帯し、キーホルダーなどの黄色いものを身につけ、電車内をパトロールする人々が次々と現れました。また、渋谷では、「まじで痴漢やめろ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議する人たちも集まりました。
センター当日の痴漢は、受験生特有の弱みにつけこみ、今後の人生に影響を及ぼす、絶対に許されない卑劣な発想・行為です。これに対し、傍観者としてできることとして「第三者介入」があります。自分の安全を第一に考えつつも、「直接干渉し、事態の悪化を止める」、「別の人に助けてもらうようお願いする」、「注意をひくような“邪魔”を意図的に作り出す」など、事態に介入することを指します。2021年も引き続き、#withyellowのハッシュタグとともに団結し、第三者介入にチャレンジしていきましょう。
ジェンダーを取り巻く変化
選択的夫婦別姓 7割が賛成 婚姻時に、夫婦のいずれかの苗字を選ばなくてはならない夫婦同姓制度。年々、当該制度に対して反対の声が広がっています。しかし、国は、社会のこのような声に対し、消極的な姿勢を見せ続けています。残念ながら2015年の夫婦別姓訴訟に引き続き、今年も司法は、夫婦別姓制度については「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」として、違憲を主張する原告の声を退けました。
一方、「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」が11月18日に発表した調査結果によると、なんと、夫婦別姓に理解を示す人は7割にのぼったということです。3年前の2017年の内閣府の世論調査では、夫婦別姓制度の導入に賛成する人は42パーセントだったので、世論は確実に変化しています。法改正を目指し、これからも声を挙げ続けていきましょう。
アフターピル 薬局でも入手可能に 避妊に失敗した際に服用するアフターピル。現在、日本では、医師の処方箋無しでは手に入れることができず、値段も1万円程度と高額です。そのため、病院が閉まっている連休中に避妊に失敗した場合などにおいてアフターピルにアクセスできない問題があり、また、親が保険証を管理していたり、十分な経済力が無かったりと、若年層がアクセスしずらいという懸念もあります。諸外国では、薬局で処方箋無しで安く購入できるも多く、日本におけるアフターピル処方をめぐる問題は、女性のリプロライツの観点から喫緊の課題です。
昨年、厚労省のオンライン診療検討会において、アフターピルのオンライン処方に関する議論中、「若い女性は知識がない」、「若い女性が悪用するかもしれない」などといった意見が挙がり、批判が巻き起こりました。これは女性だけの問題ではないし、また、若者に知識がないとしたら、それは十分な性教育を義務教育に取り入れていない国のせいであるはずです。非常に女性軽視的な発想であるといえます。
このような中、今年10月7日、政府は、アフターピルを薬局で購入できるようにする方針を固めたとのことです。来年2021年には導入されるということで、やっと私たちは、権利の一部を取り戻したともいえます。
JAL 社内のジェンダー規範を見直し 昨年、石川優実さんが、女性にのみヒール着用を強制する規定や風潮を問題視する「#KuToo運動」を発起しました。これ以降、政治家も女性のヒール着用問題に着目するようになるなど、当該運動は着実に社会を変化させてきました。
そして、#Kutooの波は、ついに航空業界までたどり着きました。今年4月1日より、JALが制服を刷新。これと同時に、JALは、従来の「黒色のパンプス、ヒールの高さは客室乗務員が3〜4cm、グランドスタッフは3〜6cm」という女性社員の履物の規定を撤廃したということです。新しい規定では、ヒールの高さに制限が無くなり、また、パンプス以外の着用も可能になったそうです。また、本人が望むならば、ヒールつきパンプスの着用も依然可能ということで、本人が一番働きやすい履物を自由に選択できるような柔軟な規定が取り入れられたということです。
また、JALは、今年10月1日より、今まで機内や空港のアナウンスで用いていた「レディース・アンド・ジェントルメン」という呼びかけを取りやめ、「アテンション・オール・パッセンジャーズ」との表現を使うようにしたそうです。このような取り組みが、ぜひ、業界全体で広がると素敵です。
履歴書から性別欄が消えた年 「JIS規格」という言葉を聞いたり、また、マークを見たりしたことがある人は多いでしょう。これは、日本の国家規格であり、就職活動などで利用する履歴書についても、このJIS規格が存在します。多くの履歴書は、この規格に準じて作成されています。
従来、履歴書のJIS規格の参考例として挙げられていた様式例には、性別欄が存在しました。しかし、この性別欄の存在は、トランスジェンダー当事者にとってアウティングを意味し、欄の削除を求める要望が寄せられていました。また、本来であれば、性別を理由として採用・不採用を判断することは差別であり、このような観点からも履歴書に性別欄は不要であると指摘もされます。そのような声を受け、7月9日、JIS規格の様式例から性別欄が削除されました。また、これに続き、文具大手のコクヨが、性別欄をなくした履歴書を発売することとなりました。
これらの個人情報は、無意識的に差別のきっかけとなるリスクもあります。日本でも、何が本当に必要な情報なのか見極め、出来る限り本人のプライバシーが尊重されるような就活のあり方が求められます。
世界各地での社会運動
Black Lives Matter運動 5月、アメリカのミネアポリスで白人の警察官が黒人男性のジョージ・フロイドさんを殺害した事件をきっかけに、多くの国で警察による暴力と黒人差別への反対を訴える抗議行動が広がりました。フェミニズムと何が関係あるの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「女性」には様々な人がいるということを考えると人種差別に反対することはフェミニズムにとって必要不可欠なのです。これは、BLM創始者であるアリシア・ガルザ、パトリス・カラーズ、オパール・トメティが黒人女性(そのうち2人はクィア )であることにも象徴されています。ちゃぶじょのインターセクショナリティに関する記事はこちら、BLMとインターセクショナリティについて綴っている記事は清水晶子先生の『フェミニズムに(も)「インターセクショナル」な視点が必要な理由。』や、土屋和代先生の「ブラック・ライヴズ・マター運動と日本における重層的差別」をご覧ください。
ほか、警察による暴力に反対する運動としては、拷問や暴力行為を行っていたナイジェリアの警察の特殊部隊「対強盗特殊部隊(SARS)」に対する抗議運動や、香港の警官隊による性暴力やデモ隊への暴力への抗議活動など起きました。
アルゼンチン、中絶合法化に一歩近づく 12月、アルゼンチンの下院が、中絶を合法化する法案を可決しました。上院での採決は12月末に行われる予定のため、この記事が出る頃にはすでに結果が出ているかもしれません。
ラテンアメリカでは、2015年にアルゼンチンから各国に広まったフェミサイドや性暴力に反対するNi una menosというフェミニズム運動が盛んであり、2019年には、チリのフェミニスト団体「ラステシス」が作ったフェミサイドと性暴力に反対し、男性優位の司法や国家を批判するパフォーマンス「Un Violador en Tu Camino」(”あなたの道ゆくレイピスト”)がSNSで拡散され、世界各地で広まりました。反植民地主義や反資本主義にも根付くラテンアメリカのフェミニズム運動から学べることはたくさんあります。
ナミビア、性暴力・フェミサイドに対する抗議デモ 女性の殺害事件をきっかけに、10月、ナミビアでは性暴力やフェミサイドに反対するデモが起きました。ソーシャルメディアでは#ShutItAllDownというハッシュタグを使って発信されています。
「国際女性デー」のアクション
スペインでは、3月8日「国際女性デー」に合わせて性差別の終わりなどを求めた24時間ストライキが行われ、約530万人が参加しました。また、メキシコでは3月9日にフェミサイドや性暴力に抗議する「The Day Without Us」(私たち女性がいない日)と題するストライキが行われ、約8万人がデモに参加したとのことです。その他の国でも、ストライキやデモが行われました。日本で予定されていた「ウィメンズマーチ」は、新型コロナウィルス感染症の影響で残念ながら延期になってしまいましたが、SNSで「#おうちでマーチ0308」のハッシュタグを使ったアクションが行われました。
日本でのデモ 全国47都道府県で開催されてきたフラワーデモは、今年も続いており、3月8日(国際女性デー)には1周年を迎えました。性暴力への反対を意思表明し、サバイバーや被害者の声を聴く場として、様々な人が集まってきたフラワーデモ。このような場で生まれた繋がりが、今後も変化に繋がっていくことでしょう。
また、12月6日には、11月にバス停のベンチで夜を明かしていたホームレス状態の女性が近隣に住む男性に殴り殺された事件を受け、「殺害されたホームレス女性を追悼し、暴力と排除に抗議するデモ」が行われ、約170人が参加しました(ちゃぶじょメンバーも参加しました)。特定の経済的地位にいる女性だけではなく、「女性」の中でも特に社会的に弱い立場にいる人にフォーカスしてフェミニズム運動を展開することの重要性が再確認されます。
新型コロナウィルス感染症で浮き彫りになった社会問題
新型コロナウィルス感染症の感染拡大を受けて、以前から存在していた社会問題が深刻化したり、可視化されたりしています。例えば、自宅待機や外出自粛が求められるようになる中、家庭内暴力(DV)の増加が世界各国で指摘されるようになりました。日本も例外ではありません。
★DVで悩んでいる方は、「配偶者暴力支援相談センター」や「DV相談+」にご相談ください。
また、新型コロナウィルス感染症の影響の一つとして、女性の自殺が大幅に増加していることも明らかとなりました。女性の比率が高い非正規雇用からの解雇、家庭内の問題、DV、学校での悩み、育児や介護の疲れなど、様々な原因が挙げられています。
★悩んでいる方は、「こころの健康相談統一ダイヤル」や「全国いのちの電話」にご相談ください。英語がよい方は、TELLにご相談ください。
さらに、セックスワーカーへの差別も浮き彫りとなりました。例えば、休校になった際に、子どもをお世話するために仕事を休んだ保護者に対する支援金から「性風俗関連業」「接待を伴う飲食等」の職につく人は対象外とされていましたが、批判を受け、政府は対象内とする方針に方向転換をしました。9月には、性風俗従事者が持続化給付金と家賃支援給付金の対象外とされていることは職業差別であり違憲であるとして、訴訟が提起されました。
加えて、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、「ケア労働」にも焦点が当たっています。無償のケア労働は、女性が担っていることが多く、自宅待機や外出自粛が求められる中で、以前にも増して、育児、家事労働、介護などの面で女性への負担が増えている現状があります。
このパンデミックは、私たちは誰も独立した「個人」として生きていないこと–––他者や生きもの、自然世界と頼り合って生きていることも明確に示しました。しかし同時に、私たちは差別、抑圧、搾取、暴力、優生思想が蔓延する社会に生きていることも改めて明確になったのではないかと思います。そのような社会で、どうやってお互いを「ケア」していくのか、しあうのか、という問題提起は、日々のフェミニズム運動の中でも取り組んでいくべき問題だと思っています。
ちゃぶじょニュース
チェンジ・リーダー・プログラム開始
JANICの助成金をいただき、ちゃぶじょは4月に「チェンジ・リーダー・プログラム」をはじめました!このプログラムは、大学生がコミュニティ・オーガナイジングを学びながら「チェンジ・リーダー」となって自分のコミュニティで仲間を集め、性差別や性暴力をなくすための変化を起こしていくものです。現在は、8つの大学から約45人の大学生が参加しています。学生たちをサポートしているコーチとしては、7人が参加しています。新型コロナウィルス感染症の影響で、全てオンラインに切り替えてここまで実施してきたプログラムですが、難しい状況下での活動にもかかわらず、ここまで頑張ってきた大学生、コーチ、チームのみなさんに、心からの拍手を送ります。
5周年記念イベント ちゃぶじょは、2020年7月に設立5周年を迎えることができました。ここまで活動してこれたのも、みなさんの応援や支援のおかげです。本記事の冒頭でも言及したように、9月27日には濱田すみれさんとチェンジリーダーのお二人を迎えて、5周年記念イベントを開催しました。来年度もイベントなどを開いていきたいと思っておりますので、読者のみなさんにも会える機会があることを願っております。
新しいメンバーが9人加わりました
今年はなんと、コアメンバーとしてちゃぶじょの活動をしているメンバーが9人も増えました!
2021年も、メンバーみんなで一緒に考え、悩み、議論し、何より楽しみながら、活動を続けていきます。
来年も、皆さんが健康で素敵な1年を過ごせるよう、ちゃぶじょ一同願っています。
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